大塚家具の社長の大塚久美子さん。その出身である一橋大学の教授に興味深い著書がある。楠木建著「ストーリーとしての競争戦略」だ。
この本ではトヨタ、サウスウエスト航空、アスクル、デル、ガリバーといった優良企業を取り上げている。ところがこういった企業の表面上のマネをすると、大怪我をするというのだ。
経営書なのにコギャルファッションにも触れている。地方のコギャルは、雑誌などでコギャルファッションの細部にすごく詳しい。しかし本場渋谷のコギャルに会ったことがないので、なにかイタイ仕上がりのファッションになっているという。
ビジネス書は常に流行りの「ベスト・プラクティス」を提示して、それを実現している企業を紹介する。しかし、表面的なことをマネすると痛い目にあう。
例えばダイレクト販売で成功したデルコンピュータ―は大手企業をターゲットにした。大手企業だとPCに詳しい社員がいて、社内である程度設置方法の問い合わせを終わらせてくれる。それができない中小企業まで相手にしていたらデルのコールセンターの経費が莫大なものになっていた。
大塚家具はニトリのマネをして、すでに飽和状態になっている市場に突っ込んで社内が崩壊した。ヤマダ電機や中国企業と組んで彼らのマーケットに生き残りを賭けたがどうやら失敗だ。
現場の混乱というものを知らないお嬢様は、この本が書いているようにニトリの術中にはまったのかもしれない。