このブログでは世襲企業の話題を取り上げるのだが、取り上げるきっかけになった実際の会社の話を書いてみたい。
その会社は我々のコンサルチームが再建のためにお手伝いした会社なのだが、ここでは脚色してフィクションとして書くので、ご了承いただきたい。
なぜ今そのことを書くかと言えば、コンサルチームの一人が財務担当役員として経営に参画していたのだが、先日辞任したためだ。
コンサルチームは、中小企業診断士の実務実習で一緒だった仲間で、プロのコンサルタントの中山氏(仮名、登場する人物はもちろん全て仮名)が中心となっている。そこに、食品販売会社経営の三上氏や銀行の早期退職に応じた今里氏がいる。今里氏は都市銀行の支店長までやった人物で、支店長の後、関連企業への出向待ちのポストにいるときに、このコンサルチームに参加した。
そして、コンサル先の会社に声を掛けられ財務担当役員として入社した。
その会社は同族企業で、株式の多くを同族が分割して持ち、役職員の中にも一族が何人かいた。コンサルに入った当時赤字決算が続いており、一族もいくつかの勢力に分裂していた。
またこの会社は取引先の数社の建設会社から、役職員の出向者・転職者を受け入れていた。そして建設会社の何社かは一族に次ぐ大株主でもあった。
コンサルチームを招聘した当時の社長は二代目で、経営の悪化を他の同族から責められていた。ある日、同族の一人と建設会社からの出向者が社長に対し退任を迫ってきた。社長から相談を受けた我々は、ひそかに株式の委任状取りまとめを行い株主総会に備えた。
退任を迫った側には2種類の勢力があった。両勢力とも社長とは敵対していたが、A勢力は現場の意見を背景にした真っ当な勢力であった。B勢力は不満分子で、A勢力を扇動していた。
最終的には委任状の過半数を押さえ、話し合いで鎮静化させた。社長は現場を知らない二代目ボンボンで、反対派の意見ももっともであった。幸い社長は反対派をとがめることはなかった。
ところがこれに不満を持ったのが、当時子会社の清掃会社の社長をしていた3代目である。しかし、コンサルチームはこれをなだめ、三代目の事業承継へのレールを引くことで納得してもらった。
その後、コンサルチームの銀行出身者今里氏を片腕として3代目社長に就任した。
つづく
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