アメリカでは1960年代前後ニューヨークを始めとして街のスラム化を解消するため、高層の公営住宅を建設した。日本でも有名な建築家のル・コルビュジエに影響を受けた計画だという。
貧しい人々を整備された住宅と広場の生活を与え、政治家や建設業者も潤うというwin-winの事業のはずだった。ところが貧困層が集まったため、もっとひどいスラムが出現して麻薬の売人が跋扈するような最悪の場所になってしまったという。
商店街的な「近所の目」がなくなったことにより、建物への落書きや破壊行為が増え、荒廃した景気が犯罪を呼び寄せるよせるようだ。
ウルトラQに団地がテーマの回があった。住人が間違って別の棟に行ってしまい宇宙人が住んでいたという話だ。団地の情景が寒々としていて、団地には住みたくないと思ったものだ。ジャン・リュック・ゴダール監督の映画にも寒々とした団地の光景がでてきた。団地の売春の話だった。やはり悪い景色は人心の荒廃を産み出すようだ。
りんたろうはマンションの管理組合で建替え決議に参加したことがある。容積率に余裕があったので、増やした部屋を売却して建設費用を賄えた。それでも決議には長い期間かかった。建替えに住人の持出がひつようだと、高齢者は賛成しないだろう。大規模修繕もできないとなると、資産価値が下がるので投資目的のひとは損切りする。タワマンのスラム化もありうるかもしれない。
ロバート・モーゼス(都市建設者)とジェイン・ジェイコブズ(ジャーナリスト)のニューヨーク開発を巡る闘い