宮沢元総理の見た緊縮財政

自民党の宏池会(今の岸田派)という派閥は、自民党の派閥の中で最も名門とされている。所得倍増計画の池田勇人から始まるが、宮澤喜一元総理は池田の秘書官だった。

その宮澤喜一は「ミスタードッジの蛮勇」という文章を文芸春秋に掲載している。GHQの占領下でモノが足りないため、物価が上昇する。米国が物資援助をするが、その物資を国民に売った金が使途不明であるという状況に陥った。これに対し、元デトロイト銀行頭取のジョセフ・ドッジは国民に耐久生活を強いることで、たくましく国民は蘇ると主張した。

ドッジ以前にGHQで日本の経済政策を主導していたのはニュー・ディールの信者たちだった。ドッジは日本首脳に国民に対する我慢の強要を説教したが、ニュー・ディーラーたちへの牽制の意味が大きかったようだった。

ドッジのこのお説教は、半分はマッカ―トの下にいる文官たちに向けられたものであった。この文官たちはニュー・ディールの信者が多く、経済を計画的に運営することに過度の自信を抱いていた。

宮澤喜一「ミスター・ドッジの蛮勇」より引用

ドッジはまた「行き届いた失業対策は失業者を作るに過ぎない」「国民は常に艱苦に耐える生活を学ばなければならなぬ」「ボロ負けになって人間だけがウヨウヨしている日本に、労働基準法などというおかしなものがあるとは思わなかった」といった暴言をはいている。

そして、まちまちだった為替レートを360円に固定して以降15年間固定し続ける。このようなドッジ・ラインと言われる厳しい政策を続けているうちに、日本経済は安定してきた。

一方ドッジは減税にも反対してきた。大蔵省出資の池田勇人・宮澤喜一という保守本流が当時の経験をもとに達成した経済成長があり、それが現在の財務省にも受け継がれているはずだ。景気に悪影響があるとの反対意見が多い中、消費税増税を続けるのは当時つちかわれたDNAが影響していそうだ。

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りんたろう

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