書評「地面師」にせ地主は温泉街から調達

2019年6月1日

「地面師」森功著。アベノミクスや東京オリンピック誘致で土地取引が活発となった。一連のアパート投資問題もその影響だが、大手企業をまきこんだ「地面師」による詐欺事件は周到に機を狙った計画的な犯罪だった。

にせ地主は温泉街から調達

地面師達はにせ地主を、温泉街のコンパニオン派遣会社から調達するようだ。箱根や群馬の温泉地にネットワークがある。派遣会社に登録はしているが仕事のない中高年のコンパニオンに話を持ち掛ける。報酬は数十万円から多くても200~300万円。安いアパートを借りて住民票を移す。

指にはマニュキュアを塗る

そして指にはマニュキュアを塗って書類を扱う。指紋を残さないようにするためだ。

金主は暴力団

地面師の活動費の元手は暴力団から出ている。詐欺で儲けた金で返済して利息も払う。ただし暴力団は事件に関与することはまれなようだ。そして生き残る地面師は口が堅く、決して金主の名前は明かさない。

積水ハウスのお家騒動にも発展

ニセの地主から土地を売りつけられた大手企業積水ハウスでは、実力者会長が子飼いの社長を事件の責任者として解任しようとした。しかし社長は逆に会長の解任動議を出して、会長をくびにしてしまった。まるで日産のお家騒動だ。

高齢不在地主が狙われる

積水ハウスの事件では、五反田の旅館の地主は高齢で入院中だった。また、台湾人の不在地主になりすました詐欺事件もあった。現在高齢になって介護施設などに入居し、不在となっている住居が増えている。犯罪者が住み込む事件もあったが、このように詐欺の舞台になるケースも増えてきそうだ。

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