企業IRへのアポなし訪問とファンダメンタル分析の限界

著名個人投資家の方がIRをアポなしで行ったことについてTwitterで議論がありました。そのことで感じたファンダメンタル分析の限界について考えを述べてみます。

エリアリンクのファンダメンタル分析

8914エリアリンクを打診買いしたことを書きましたが、その後調査するなかで「すぽさん投資ブログ」でのコメント欄のやりとりがすばらしかったのでご紹介したいと思います。「すぽさん投資ブログ」では読者からのリクエストにより特定の銘柄のファンダメンタル分析をブログ主を含めて複数の投資家がディスカッションします。

エリアリンクも取り上げられています。不動産業界の知見が深い人の意見もあり、それぞれの立場で企業情報を分析して今後の業績について議論が行われています。

この会社の事業はトランクルームの供給や運営です。団塊世代の高齢化を迎え、その相続対策としてアパート経営が流行しました。そのためアパートは供給過剰になりつつありましたが、トランクルーム事業はその代替として魅力がありました。スルガ銀行の不正融資問題はアパート投資を直撃しましたが、トランクルーム事業にも影響があったようです。

IRで社長はアパートがダメな分トランクルームに追い風であるような発言をしています。しかし融資が厳しくなっている以上出口が厳しくなることも予想されます。

ファンダメンタル分析は重要だが限界もある

そのようなことも含め「すぽさん投資ブログ」では、コメント投稿者の有益な知見による有意義な議論が行われています。現在の世界は企業活動を通じて生産性が向上して豊かになっています。したがって、企業に投資するということで投資家は豊かになれます。ここがFXなどのゼロサムゲームとは異なる点です。

したがってファンダメンタルを分析することは基本でありとても重要なことです。しかし、ファンダメンタル分析は機関投資家に有利で個人株主には不利なものです。機関投資家は経営者と対面で時間をとり話ができます。個人投資家は株主総会など限られた機会に限られます。アポなし訪問しても得られる情報は限られています。

機関投資家のファンダメンタル分析も限界がある

私は企業の経営企画の管理職をしていました。経営計画を立案する部門です。保有する中小企業診断士の勉強会に参加する機会もありますが、上場企業の経営企画部門の人も多くいます。各々の企業については、機関投資家に情報を提供する立場であり、機関投資家より多くの情報をもっています。

そんな当事者達と話していても、自社の情報について把握することに限界があることがわかります。自社の情報についても現場の実態把握には限界があります。例えば受注計上していれば次の売上見込みとして把握しますが、受注の延期や取消が行われれば売上予定が崩れます。もちろん内部統制として精度向上に努めますが、過度な統制は現場の負荷を増やす弊害もあります。

また経営企画やIR部門を含めガバナンスやコンプライアンス部門なども、企業の主流ではありません。トップが主流部門の意向で動くことは多くあります。IR担当者の話がトップの意向と異なる可能性もあります。

結論:株価が一番重要

エアリンクの場合はMSワラントという需給悪化材料もあるのですが、なにより株価の下落という事実は一番の材料です。エリアリンクもストックビジネスに魅力を感じ投資した方もいたようです。また社長IRも強気なメッセージを出しているのですが、株価下落の前には言い訳ととられています。ファンダメンタル分析分析は重要ですが議論しているうちに株価があさっての方向にいってしまっては本末転倒です。すぽさんの議論の切り上げ方も適切で、必要にして十分な議論になっています。

以前ZOZOの投資で撤退しましたが、やはり株価が織り込んでいました。株価という事実が最重要です。

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