賃貸か所有か:書評「2025年東京不動産大暴落」榊 淳司著

2019年3月5日

本書の初版は2017年6月15日。2018年はかぼちゃの馬車、スルガ銀行、レオパレスと不動産事業の問題が噴出ましたが、この著書にはこれらの問題点が指摘されています。2017年時点で専門家にはかなり把握されていたことがわかります。

「2025年東京不動産大暴落」主な内容

  • くり返されるバブルの生成と崩壊
  • すでに地方も東京も不動産バブルの崩壊が始まっている
  • 今後の暴落について
  • 暴落を避けるために

くり返されるバブルの生成と崩壊

失われた20年で、都心でも利回り8%から10%を超えるビルマンションがたくさんあった。一方不動産ファンドは2~3%で融資を受けられた。貸出金利と利回りの差益を狙って、海外のオイルマネーを中心としたファンドが参入した。さらにクリード、パシフィック、ダヴィンチといった日本勢が参入した。これが2005年からの不動産ミニバブルだ。

その後、2008年のリーマンブラザーズ倒産がおこる。当初アメリカの問題は日本には及ばないとする専門家が多かった。
しかし海外のファンド勢は撤退しミニバブルは崩壊する。

リーマンショックの対応に各国は金融緩和を実施する。アベノミクスでは黒田日銀のバズーカによる金融緩和だ。しかし、企業は豊富な内部留保でカネを借りない。さらに日銀のマイナス金利により銀行は運用難に陥る。銀行の国債も日銀に買い上げられてしまう。

そんななか団塊の世代の相続対策が視野に入ってきた。マネーが向かった先はタワーマンションと郊外地主ののアパート。そしてサラリーマン大家だった。

不動産バブルが再発した。

すでに地方も東京も不動産バブルの崩壊が始まっている

「廃村」とは人が住まなくなった集落のこと。地方では廃村が増えている。そして驚いたことに東京圏の奥多摩や神奈川の横須賀市に廃村が生じている。
公示地価は実態とは離れている。公示価格は役所の意向をくんだ大学の先生たちが決めている。実際の取引を経験していないので一体とかけはなれている。

有名な商店街の店舗をただでもらっている人がいる。元の持ち主が売れないし貸せないのでただ同然でもらったという。すでに地方も東京も不動産バブルの崩壊が始まっている

バブル崩壊は静かに始まっているようだ。

今後の暴落について

これから先不動産価格の暴落につながるイベントは以下のとおり・
2019年 平成30年調査の空家率発表
2020年 東京オリンピック終了
2021年 団塊ジュニア世代、50歳代へ
2022年 生産緑地法の期限が切れる
2023年 空家率が21%突破 1404万戸へ
2025年 東京都人口減少の開始 高齢者3600万人へ

暴落を避けるために

暴落を避けるためには供給を減らすことが必要だ。人口減少で需要が増えることはない。
供給を減らすためには次のような対策が考えられる。
・新築住宅の抑制
・タワーマンションの規制
・流通市場の透明化=レインズの解放
・民泊の合法化

注)レインズというのは不動産業者のみがアクセスできる不動産ネットワーク。
一般の人が見るスーモやホームズといったポータルサイトは残り物であることが多い。

まとめと感想

住宅は賃貸か所有かの議論では、年をとると住宅が借りれなくなる論があります。
分譲会社のというか、不動産業界としては商売のタネなのでそういった理論もやむを得ないのかなと思います。
しかし長期ローンを借りると、購入額と同等の金利を払うケースもあります。
購入する側もしっかりと勉強して判断するよりないようです。

やはり少額で良いので、若いころから株式投資などで自己責任の厳しさを経験することが大切でしょう。

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